ATS広小路

名古屋市の中心部、栄を東西に通る広小路通り沿いに建つ商業ビルである。この東側には歴史ある朝日神社がある。周囲は高層ビルが立ち並んでいるが、この神社によって大きな緑があるという特徴があった。

この計画では立地を生かすことが重要であった。1階から3階までのファサードの改修、東側隣地との隙間1.6ｍの通路の有効利用計画、そして東側の緑を借景として取り込むことを計画した。

外壁には磁器質タイルを使用している。このタイルはクレイマイスター（織部製陶）を使用しており、タイルの質感、色、サイズはオリジナルのタイルになっている。

間口が狭い敷地であることから、ファサードはタイル面が上に伸びていく印象を持たせることに重点をおいた。

東側通路は避難通路としての役割があるのだが、敷地の奥へ延びていく路地としての印象も持たせている。通路の壁面はタイルを基調とし、ファサードからつながるデザインとなっている。この通路は朝日神社に面しており、東側壁面に大きなガラス開口を設けるとともに、通路上部2、3階にはテラスを設け、豊かな緑を享受できるような場を用意した。