康家其ノ弐

一つの店舗にふたつの異なる料理(ジンギスカン・ラーメン)を提供する店として計画された。計画地が駅の正面であることから、駅からの人の流れを包み込むようなイメージを描いた。エントランスを建物の中心に配置し、そこから各料理棟にアプローチできるようにした結果、V字状に翼を広げたような建物になった。各料理棟がエントランスを挟むように3棟の寄棟がお互いに寄り添っている。 

アプローチには高木が植えられたサイズの異なるスチールコンテナが配置されている。高木の足元はそれぞれテーマの違う箱庭のように下草を作り込みアプローチにリズムを持たせている。 

内部は柱のない大きな空間を実現するため上部の屋根架構を組む形で構成されている。この特徴的な屋根架構は防火上、本来は覆わなければならないところであるが、納まりの工夫によって見せることを実現させた。結果、空間に流れと木特有の柔らかさを生むこととなった。 

全体的な内装はモルタルと杉板、木毛セメント板を基調としている。一方で、各料理空間の提供する時間帯や料理の印象に合わせるため、壁や建具などに使う杉板の面積、墨モルタルやカウンター上部の杉の縦格子に変化をもたせ、空間の差別化を図っている。 

ジンギスカン棟ではカウンター上に排気ダクトを設置、テーブル席は無煙ロースターを使用することで排気対策は万全だ。射的場は遊び心のあるクライアントからの要望で、あえて空間の中心に配置している。杉板を基調にした空間で建物から突き出しており、変化と遊び心のある空間となった。 

この建物では外光を積極的に取り込んでいるが、建物をV字としたことで視線はアプローチの植栽へと向き一つの世界を保っている。 

夜になり明かりが灯ると大きな幕からは行燈のように文字が浮かび上がり、つい寄ってしまいたくなる雰囲気だ。 

Completion date 2020.12
Principal use Architecture
Total floor area 220.14㎡
Location Aichi,toyota
Structure Timber structure
Structure design MOV structural design
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